IQ問題から数字化に疑問を持ってみる

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体重はいくつが良い、血圧はこの範囲が適正、塩分は…糖分は…etc
情報や理論が多すぎて困ってしまいますよね。それは情報の受け手である私達が素人だからです。


■目次

 



■情報と人

 


『宿便』はダイエッターなら馴染の用語ですが、腸の専門医に言わせると「そんなものは存在せん!』と言います。間に入る『売り手』は『宿便はダイエットの敵!』と流布します。
専門医は「そんなものが腸内に存在するなら、腸が正常に機能していない可能性を疑う」と言い切ります。何故なら、腸が正常に機能していれば、カーブだろうとなんだろうと、腸の運動によって押し流されるからです。
便秘で亡くなる方はいても、宿便で亡くなる方はいません。それが答えです。
同じように、具体的な数字やグラフを出されると「なるほど!」と思ってしまうのが、私達人間なのです。

今回は、身近な入り口としてIQという数字の欺瞞(ぎまん)に触れたいと思います。
その数字化を受け取る私達のイメージの修正です。
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■IQ問題から考える数字の罠

 


「IQが高い」と聞くと、ものすごく頭が良さそうなイメージが思い浮かびますよね。
でもその数字がどのように頭の良さを表しているかはよくわかりません。
1度整理してみましょう。
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◆IQ診断の目的と始まり

 

IQはアルフレッド・ビネとテオドール・シモンという両者が、子供の言語能力を数字化しようとした事に始まります。
差別用語になるかもしれません。不快にならずに読んでくださいね。
いわゆる『知恵遅れ』とそうでない子供を区別する手段として考え出したもの。それがIQ診断です。

1912年に、これを応用した形式を生み出したウィリアム・スターンにより、より実用化へと向かいます。

精神年齢と実際の年齢を割って、それに100を掛ける。これがIQ指数として広まりました。

言葉は悪いですが、本来は知恵遅れ診断だったのです。賢さ診断ではありません
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◆IQ診断の信憑性

 

計算式が確立されたIQ診断テストですが、既に問題があります。
実際の年齢は良しとしても、割る精神年齢の数字は?ここです。

例えば、赤・黄色・緑色の枠が並ぶ用紙を子供に見せます。「バナナの色はどれかな?」と大人が問いかけます。
多くの子供は黄色を指差すでしょう。けれど、バナナの出荷が盛んな地域に育った幼児は緑色を指差す可能性が大きくなります。
何故なら、バナナは出荷された後、トラックで運ばれながら黄色に熟すからです。
その地域の子供は、緑色のバナナばかりを見ているのです。
この出荷・運搬方法が確立するまでは、バナナは高値の果物だったようです。

またこんな事もあります。「海苔巻きの色は?」と問いかけた場合、日本人の子供なら海苔色に近い黒を選ぶでしょう。
ではアメリカの子供ならどうでしょうか?
ごはんが表面に出たカリフォルニアロールを海苔巻きと認識していれば白を選ぶのです。

ここで考えてみましょう。日本人の子供とアメリカ人の子供の知能に違いはありますか?
彼等は知っていることを答えただけですが、間違いの答えでしょうか?

このように環境や文化によって左右される事を、数字化しようとしたのがIQ診断なのです。

幼児の割には色々知っているしわかっている。
これを測るのに用いる事が主体のIQ診断を、ティーンネイジャーや大人にも…となったのが現代です。
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◆頭の回転がと決断力?

 

「人間は自然のうちで最も弱い葦の一茎にすぎない、だがそれは考える葦である」
パスカルの有名な言葉です。
落ち着きの無い子や短気な子というのは、熟考するのが苦手な傾向にあります。

天才と名高いアインシュタインは熟考するタイプの人間でした。だからこその成果とも言えます。
そして彼はIQが高かった事でも知られています。

IQが高い=頭の回転が良く、テキパキとものを決められるイメージが間違いである事を証明するひとつだと思います。

韓国はIQ対策を視野に入れた教育が盛んです。IQが高い人。その数は世界でも上位です。
しかし、それに伴って何かの功績を残す人材はどれだけいるのでしょうか?
医療・科学・発明…etc
韓国は小さな国なので、実際の人数で他国と比較してはいけないのですが。
IQが高いという結果を残しながら、成果に結びつく結果を出しているか?という問題に着目すれば、あまり意味がない事がわかります。

これは、ある程度成熟した人間の知能指数を測ろうとする事に意味がない事を示していませんか?

つまりですね、工業系の学生に文系の問題を突きつけても間違いが多い。その逆も然りです。
看護学生に芸術を問うても答えられません。趣味で芸術を嗜んでいる人以外は。
幼児のように一般的知識や常識を取り込むスピードを測るのと違って、成熟して進路がハッキリしてくると意味がないのです。

看護学生や看護師が芸術の問題に答えられなかったからと言って知能が低いわけではありません。
文系の問題に答えられないからと言って、工業系の学生や従事者の知能が劣っているわけでもありません。

自分に向けられたテーマや課題にどれだけ取り組めるのか?これが人の成熟度を示す事になります。
頭が良い事は処理スピードでは無く、成果で示すようになるのです。
これが頭が良いとか賢い事を示す指針になります。
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■まとめ

 


IQのように、偏ったイメージが一般的にされた状態で広まっているものが多くあります。
それは仕方ない事です。私達は素人ですから。
しかし知能が低いわけではありません。
それを精査できるだけの技術と知識を学んでいないだけなのです。
IQを考え直してみた場合のように「ん?ちょっと待てよ?」と考える事ができる事こそが賢いのです。

それこそ「考える葦」の生き方です。

それは健康面に多大な影響をもたらす事にもなります。
やたらと数字化したりグラフや指標を出す事によって、人を偏った方向に導くのです。

健康食品・ダイエット食品・アンチエイジング等、無駄金を払っている可能性もあれば、健康を害している可能性もあるのです。
今食べたものが、血となり骨となるのに半年の時間を要すると考えて、半年も前に採取したサプリメントが原因で起こった障害を立証するのは難しくなります。
そんなに以前の事では、本人も原因として考えつかないからです。

私は素人ですが、素人なりに『考える葦』でありたいと思います。
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