心理学を例に考える数字化

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IQを例にあげて、そのテストや数字化には有効な年齢数・適応すべき層と除外すべき層がある事を書きました。
今度は傾向や平均について書きます^-^
私はなんの専門家でもない一般人なので「私はこう考える」と述べるだけですけど、このレシピ集の栄養や料理、食材へのテーマがこれで成り立っているのです。


■目次

 



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■心理学と統計

 


今回の話題について、1番わかりやすい例が心理学だと思います。
精神心理というものは、根拠や証拠をデータ化するのが非常に難しい分野です。

「嘘をつくとき、人は〜する。」
これを身近な人で考えてみてください。
お父さんは?
お母さんは?
兄弟は?
姉妹は?
友達は?
息子は?
娘は?

あなたが「あー、嘘ついてるな!」と気がつく材料は、相手によって様々で同じでは無いと思います。
同じ彼氏という立場でも、元彼と今彼では違います。そうでしょ?
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嘘の例

 

「今日ちゃんと塾に行った?」と問いかける母親に対して「行ったよ」と嘘をつく子供。
『塾を無断で休むと、塾から親に連絡がいく』という事を子供が考えていれば、何かしらの動作や症状が現れる。
母親は「嘘を言ってもわかるんだからね!」とひとこと付け加える。
『母親が塾に電話をするかもしれない』と考えた子供は、何かしらの動作や症状が現れる。

この時間の『 』内を変えてみます。

「今日ちゃんと塾に行った?」と問いかける母親に対して「行ったよ」と嘘をつく子供。
『塾を1日ぐらい無断で休んでも、当然塾から電話は来ない。』という事を子供が考えていれば、何かしらの動作や症状が現れる。
母親は「嘘を言ってもわかるんだからね!」とひとこと付け加える。
『自分の子供が塾に行ったか確認するような事を母さんがするわけがない。』と考えた子供は、何かしらの動作や症状が現れる。

動作や症状が現れる。この結果に違いが出ませんか?

その時何を思ったのか?そこにどんな事実があるのか?これだけで現れる症状が違います。

浮気を疑われる立場でもそうです。

  1. 妻から浮気を追求される。
  2. 娘から浮気を追求される。
  3. 上司から浮気を追求される。
  4. 妻の親友から浮気を追求される。

全部嘘で答えるにしても、相手によって言う事が変わるし、嘘がバレた時の影響が違いますよね。
ですから、緊張感や態度、表情も変わります。

心理学は学問ですから、これらの事を根拠づけるデータや証拠が必要なのです。
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根拠となる統計データ

 

心理学は学問ですから、根拠を示すデータが必要です。
そこで生み出されたのが統計心理学です。

様々な相手、様々な状況、様々な内容によって変わる症状を統計を取りながらデータ化していく方法です。

心拍数や体温を計測しながら嘘をつかせたり、リラックスさせた状態で心地良い思い出を語らせたり…
被験者を募集してテストを繰り返したり…
このようにして蓄積した統計を根拠や証拠として採用する方法です。

心理学が基本的にこれがベースになっています。

交際したての熱々カップル10組と、5年以上付き合っている熟成度の高いカップル10組を集めます。

  1. 現在のパートナーとデートに行くならどこに行きたいか?
  2. 一緒に食事をするなら何を食べたいか?
  3. 食事で飲むならビールかワインか?

その結果1番多かった答えが代表的な答え、つまり心理学的回答になります。

熟成度の高いカップルでは、相手の事も、相手の経済的状況も、好みも良く知っている事になります。
ですから、最初に挙げた質問では個々の答えがバラつき過ぎてしまいます。
例えば、釣り好きの彼氏なら、デートに釣りができるスポットを選び、その彼女なら、食事に『彼が釣った魚でBBQ』という食事内容が答えになってしまう事もあります。
そこで、予め質問の内容を固定する必要があります。

  • 現在のパートナーとデートに行くなら?
    1. 映画
    2. 遊園地
  • 一緒に食事をするなら
    1. フランス料理
    2. 焼肉
    3. イタリア料理
    4. 寿司
  • 食事で飲むなら
    1. ビール
    2. ワイン
    3. 日本酒
    4. お茶

このように回答を限定すれば、統計が取りやすくなります。

質問をする側が得たい内容に応じて回答を限定できる数字化。それが統計です。

心理学は、このような作業の積み重ねによって成り立っている学問です。


■統計の有効と無効

 


カップル向けのデートスポット用レストランを開業したい企業が用意する質問。
新しく店を開く料理人がメニューを考えるために用意した質問。
同じ料理がテーマでも、用意される質問の内容と答えが変わります。

これを心理学と統計という部分から考えてみました。

答える側は、何かしらの条件下にある人々の回答者となります。この集合が統計データです。

統計に個別具体的内容は含まれません

例えば、アトピー患者を相手にした統計でも、環境や体質、遺伝の問題で差があります。
畳生活かフローリング生活か?
風呂の頻度は?
親族に同じアトピー患者がいるか?
このような個別具体的内容は、範囲を絞っても必ず出てきます。

何かしらの目的を持って統計データを参考にする事は有効な手段です。けれど、それに当てはまらないのに参考にするのは無効です。なんの効力もありません。無意味です。
だって、その統計と自分はなんの関係もないのです。

倦怠期カップルを対象とした統計だって、夫婦と恋人同士では違います。
まだカップルになっていない人が、デートに誘うならどこか?というカップルの結果を知っても意味がありません。
初デートの成功率という統計データを探すべきです。
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乱用

 

本来ばらつきのある個人を、統計によって分類する。心理学に関わらず、多くの分野で使われる手法です。
医学や栄養面でも使われます。

これらのデータの乱用が非常に多いのが現在です。特にダイエット業界や、人のコンプレックスを利用した美容業界です。

「科学的に証明された」
「医学でも用いられ」
「統計が出ている」

このような言葉を並べて、消費者を惑わします。

えっと…
「あの南国の人々は、主にこの魚を食べているので太らない。」という情報がでまわったとしましょう。

『太らない』のであれば、小太りも含めて肥満は0人でなければなりません。
実際はどうでしょうか?

統計データというものは、個別具体的内容を無視します。都合の良いものだけをピックアップして購買意欲を煽るのは、私は問題があると思います。

未病商法もそうです。この栄養素を摂り続ければあの病気が防げるという内容ですね。
まず、何のデータに根拠を置いているのか?について知る必要があります。
糖尿病患者を相手に集めた統計は、健康体の人とは違います。
胃潰瘍を起こしやすい人と、いつも難なく飲み食いできる人とは違います。
血圧やその他諸々についてもそうです。

本当に自分はそれに当てはまるのか?という問題をうやむやにさせる手法で購買意欲を煽る業界があるのです。

データや統計、論文の乱用はあらゆるところでみられます。

『栄養価が高く完全フードと呼ばれるこの木の実。これを食べているから、この国の人々は長寿なのです!』
その国のその人々(土着の人々)には合う食材も、日本人は糖が多すぎたり、消化し難い成分が入っていたりします。
日本人に合う食べ物とは限らず、かえって寿命を削る食べ物になるかもしれません。
その国の人々を上回る寿命の人々が見つかる度に、その食生活を真似しますか?
国内に、それを超える年齢の人はいないのでしょうか?

こういう身近な事から考える必要がある時代なんですよね^-^;

  • 誰に?
  • どうして?
  • 何のために?

この3つを頭に置いて、統計やデータの話を聞く事は大事です。
腎臓や肝臓に疾患のある人の食データを真似ると、かえって身体をそちらに傾ける事になりかねません。
疾患のある臓器の負担を減らす、処理しきれないものを採らないようにする。このような事は健康体の人には必要の無いものです。

人の体は使わなければ衰えます。それは臓器であろうと神経であろうと同じです。

糖尿病患者でも無いのに、むやみやたらと糖質をコントロールする事は、かえって処理能力を下げる(衰えさせる)引き金になりかねません。
本来なら処理できた(健康体)はずなのに、衰えさせた結果、処理しきれない(糖尿病)体を作ってしまう可能性は十分にあります。

乱用はこれを引き起こすのです。
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■まとめ

 


現在の心理関係の統計的根拠は、生きた人の脳を使った『脳マッピング』実験からスタートした『脳機能』と結びつけて考えられる事が多くなっています。
統計だけではなく、脳機能という裏付けで強化するようになりました。
しかし、ドラマに出てくるような完璧なものではありません。
単に、どこをどう刺激するかによって、脳機能の役割を分けた脳内の地図を手に入れただけです。

デパートに行った時、目当ての物が何階にあるか案内板を見ますよね?その程度です。
服を買いに行ったなら、以前は『5F〜8F衣服売り場』と表示されていたものが『5F紳士服売り場、6F婦人服売り場、7F子供服売り場、8F呉服売り場』というように細かくされている。その程度に過ぎません。
人間が入手しているのは細かいマッピングであり詳細な設計図とは違うのです。

『脳に良い勉強法』というようなものは、このマッピングありきでスタートしたと考えて良いでしょう。

ところで、脳の働きや機能だけでは解決できない問題があります。それは精神や心の分野です。

脳に命令を与えて何かをさせたり、見させたり、感じさせたりする事はできます。
例えばですね、目の前に斧を持った見知らぬ男がいる。それで恐怖を感じるのと、何も無いのにただ恐怖を感じるのでは違うという問題です。
脳のそこを刺激すれば恐怖や不安を持つ。それは確かでも、恐怖を感じるべき情報が足りないと、その人はどこかに違和感を覚えるのです。
その違和感が不快感となり、そこを刺激される事を拒否し始めます。
目の前に斧を持った男という情報を目視させたとしても、足りない何かがある。
違和感や不快感が早く出るか遅く出るかの違いです。

『感情や動作は脳で作れる』事は事実です。
しかし『人工的・機会的に作られた感情や動作は続かない』のです。繰り返されると拒絶が生まれます。

脳機能で、ダイエット・禁酒・禁煙をスムーズにする事はできても、長期になると、通常より重いストレスを感じるようになる。
この溝の部分が、心とか精神とか呼ばれている部分なのでは?とされています。

心のマッピングができないのであれば、心理学が研究の域を出る事は不可能だと思います。
だから私は「心理学では…」と聞いた時、「そういう傾向の人が多いのだなぁ」と聞く程度に留めるようにしています。
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